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PARADISE TOUR FINAL 目前!Morrie単独インタビュー
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| ──6月12日、渋谷O-EASTでのライヴがいよいよ迫ってきました。去る3月11日、O-WESTで行なわれることになっていた『PARADISE TOUR』ファイナル公演が震災のために延期となり、それがようやくこうして実現に至るわけですが、結果的には単なる振替公演以上の意味を持つものになりそうですね? |
| Morrie:ええ。前回は、ツアー・ファイナルのみを残して帰国することになってしまって。当初の予定通りのスケジュールではあったんですけど、震災の3日後に僕はニューヨークに戻っていたんですね。そこでまず驚かされたのが、日本国内と国外での、さまざまなことについての認識の違いで。向こうに居る身のまわりの人間たちからは「よくぞ無事で帰ってきた」と言われましたけど、今回、こうして日本に戻ってくるにあたっては「何を考えているんだ?」みたいなこともたくさん言われて。実際、どうして戻ってきたのかと問われれば「日本人だから」としか答えようがないんです。この感覚を正確に伝えるための適切な言葉というのがいまだに見つからないんですけど、少なくとも「自分は日本の外に居られるから安心だ」という感覚では全然なかった。日本を心配する、というのとも少し違う。ただ、とにかく「今、自分は日本に居るべきなんだ」という気持ちがあって。だから今、自分がここにいる理由は「日本人だから」としか言いようがないんです。 |
| ──ただ、こうした出来事がMorrie自身の音楽に向き合う考え方を変えてしまったわけではないんですよね? |
| Morrie:うん。実際、今回のことは誰にとっても「いかに生きるべきか?」みたいなことを考える機会になったはずだと思うんです。でも、僕自身は常日頃からそういうことばかり考えているんで(苦笑)。ただ、音楽的にどうこうという影響はないけども、活動のあり方という部分では、改めて考えさせられた部分というのがすごくあります。簡単に言えば「自分のことは自分でやる」という当たり前のことについての決意が、より固いものになったというか。もちろん以前からそう思ってはいたわけですけど。 |
| ──もしかして、それが今回の新レーベル発足に直結しているんですか? |
| Morrie:そうです。誰にも依存することなく、既存のシステムに頼ることもなく、できるだけ少数精鋭で物事を進めていきたい。そういう思いからのレーベル設立なんです。もちろん今後、メジャーと組むことが絶対にないという意味ではないですけど(笑)。やりたいことを、やりたいときにやるため。その自由を確保するためのものですね。 |
| ──その新レーベル、Psyche Recordsからの第1弾アイテムが、6月12日のライヴ当日に会場限定で発売されるシングルということになるわけですね? |
| Morrie:ええ。レーベル名と同じスペルの新曲が1曲目に入っていて、そちらが“プシュケー”、それに対してレーベル名のほうは“サイキ”と読むんで、少々ややこしいんですけど。実際にはレーベル名よりも先に「PSYCHE」という曲の存在があったんです。この言葉が意味するのは“息”だとか“魂”だとか……。僕自身のなかでずっと何年も“魂”がキーワードであり続けてきたので、それを考えれば順当なレーベル名だなと思うんです。ここが新たな基地になる。しかも実は、もう第2弾リリースも決まっているんです。 |
| ──その話は、また機会を改めて。そのシングルに収められている「PSYCHE」と「TELOS」という2曲について説明してもらえないでしょうか? てっきりすでにライヴでも披露済みの「DEAD RIDER」あたりが収録されることになるものとばかり思っていたんですが。 |
| Morrie:僕自身も当初はそう考えていました。ただ、それを予想していた人も少なくはないはずだし、そういった予測はできるだけ裏切りたいですからね(笑)。「PSYCHE」は完全なる新曲です。実は4月に、個人的な用事で1週間ほどロンドンに滞在していたんですね。そのときにできたのが、この曲なんです。4分の4拍子で始まって、歌が始まると同時に3拍子になって、サビでは5拍子になる……。僕にとってはまったく特殊な展開ではないですけど(笑)、そういった拍子の配り方にも、その当時の震災に対する自分の感覚が反映されているというか。 |
| ──この場では敢えて、それ以上詳しいことは訊かずにおきます。かたや「TELOS」のほうは、ずいぶん前から温め続けられていたものだということですが? |
| Morrie:「TELOS」の原曲は13〜14年ほど前からありました。楽曲の原案データが古いコンピュータにたくさんたまっていて、ここのところそれを取捨選択しながら新しいコンピュータに移植する作業を進めているんですね。そんななかで発見したもので。面白いことに、「TELOS」は昔から「TELOS」というタイトルだったんです。“EROS”と韻を踏む言葉だし、それを「PSYCHE」と同じ作品に収めるという面白さも自分のなかではあって。 |
| ──確か、プシュケーはエロスに愛された美少女の名前でもあるんですよね? |
| Morrie:そう。ギリシア神話のなかの話ですね。エロスとは、すなわちキューピッドのことで。そういった2曲の取り合わせになったんです、偶然にも。で、「TELOS」の音源のなかには当時の自分が録ったものも含まれています。具体的に言うと、現在の自分の歌に、昔の自分がハモリをつけていたりする。 |
| ──そのへんの成り立ちも興味深いですね。今回、実際のレコーディングは都内某所で、ごく短期間のうちに行なわれていたようですね? |
| Morrie:実際にスタジオでやったのは、ドラムのレコーディングと、いわゆるリアンプの作業ですね。それ以外はファイルのやりとりで進めていって。まさに現代なりのレコーディングのあり方というか。 |
| ──逆にこの5人が“せーの!”で出した音を録音する、というのも面白いはずだと思うんですけどね。 |
| Morrie:確かに。ただ、本当にレコーディングというもののあり方自体が変わってきているし、作品というものが“その場の空気をパッケージしたもの”という性質のものではなくなりつつある。無意識のうちにリスナーとしての耳もクリックに支配されつつあるような部分があるはずなんですよ。でも、だからこそライヴというものがますます重要になってくるんです。作り手が本来レコーディングで味わえていたはずのものが、ライヴでしか味わえなくなってきつつあるわけで。だからライヴ1本の重要性というものも、いっそう重くなってくる。敢えて言っておくと、Creature Creatureはライヴでは一切、クリックを使っていません。コンピュータと同期させたライヴではないんです。その場でみんなが演奏している音が、そのままダイレクトに届く。それでこそ味わえるダイナミックスというものが、演奏者側にも、受け手の側にもあるはずだと思うんです。人前で演奏するというのはそういうことだと、僕は思っているんで。 |
| ──その空間に一緒に居るからこそ味わうことのできるダイナミックス。実際、Creature Creatureのライヴにおける最大の魅力はそこにあると思います。 |
| Morrie:みんなにもそう思ってもらえているんだとすれば嬉しいですね。実際、『PARADISE TOUR』では、いろんな意味での達成感があったんです。このバンドのライヴは、やればやるほど良くなってくる。それを実感しながら毎回のライヴを重ねていたんですね。ライヴでしか獲得できないバンドの状態とか境地というべきものがあったというか。ただ、それが最高潮に達しつつあったところでツアー自体が途切れてしまった。その残念さというのはずっと残っていたし、だからこそ絶対にあのツアーを締めくくるライヴは一刻も早くやりたかった。というか、やらなければならない、やらない理由がないと思っていたから。そこでこうして6月中にできるのは幸運だったと思います。今回のライヴでも、またすごいものが生まれることになるんじゃないかという予感がすごくあるし。しかもこれは『PARADISE TOUR』の集大成であると同時に、新しい流れの始まりだとも思っているんで。 |
| ──ますます当日のライヴが楽しみになってきました。ところで今回のシングルは、本当に会場でしか入手できないものなんですか? |
| Morrie:もちろん。通信販売みたいなこともする予定はないし、売れ残ったら処分することになります。もしくは増田さんに買い取ってもらうか(笑)。しかも「PSYCHE」にしろ「TELOS」にしろ、少なくともこのテイクがそのまま次のアルバムに入ることは絶対にあり得ないし、おそらく「TELOS」はこのシングル以外では一切聴くことができない楽曲になると思う。僕はいわゆる“使いまわし”をしたくないんです。常にその場その場が勝負、という気持ちなんで。だから後悔しないためにも、かならずライヴに足を運んで、このCDを手に取って欲しいですね。アートワークの秘密にも触れて欲しいですし。 |
| ──すでにオフィシャルサイトでも公表されているジャケット写真は、Morrie自身の撮影によるものだそうですね? |
| Morrie:ええ。しかもこれは僕の血なんです。 |
| ──……。その言葉の意味も、また改めて訊かせてください。 |
| Morrie:わかりました。とにかくこの作品には、いくつもの偶然が重なりあっているんです。まさに怪我の功名というか……。 |
| インタビュー/文●増田勇一 |